キャロットケーキ 🇬🇧
500年の歴史をもつ愛されスィーツ
キャロットケーキの歴史は大変古く、イギリスでは中世1500年代から作られていたと伝わります。「キャロットプデイング」と呼ばれていた当時 ケーキ作りに使える甘味料といえば蜂蜜でしたが、希少品で大変に高価さらに遠く運ばれてくる砂糖はもっと高価でしたから、庶民はニンジンやナツメヤシ、ビーツなど糖度の高い野菜や果物を上手に利用してケーキを焼いていたのです。
18世紀に入ると西インド諸島に砂糖のプランテーションが建設されて砂糖が大量に輸出されるようになったため、庶民も砂糖をたっぷり使ってケーキを焼けるようになりました。そんな中でもキャロットケーキはイギリスの人々に忘れ去られることはありませんでした。そして第二次世界大戦中 砂糖が配給制になり、1週間に8オンス(約230g)のみしか使えなくなってしまった時、人々はニンジンを利用してケーキやクッキーを作り、束の間のティータイムを楽しんだそう。
今ではバターを使わず、たっぷりのニンジンとブラウンシュガーやナッツを使って作られるヘルシーなケーキとしてティールームでもホームメイドでも支持されるロングランの人気もの
チーズフロスティングは1970年代のアメリカで考案され、イギリスへお里帰り…キャロットケーキにチーズフロスティングのペアリングはイギリスでも定番になっています。
ご紹介するレシピはスポンジ生地だけでヘルシーに美味しく食べていただけます。サラダリーフとハムを添えて、スライスしたキャロットケーキにクリームチーズをのせれば、朝食にぴったり。ティータイムにはクリームの量を調整しながら添えてみてください。お菓子感が一気にアップしますから…。材料を次々加えて混ぜるだけの「オールインワン」!簡単ヘルシー美味しいの三拍子揃ったレシピです。
キャロットケーキ レシピ
《材料》直径15cmの丸型 or 長さ18cmのパウンド型1台分
人参 塊の状態で110g~120g
レモン汁 大1
*卵 2個
*粗製糖 90g
*米油 100g
*シナモン 小1
*ナツメグ 少々
*塩 少々
☆薄力粉 170g
☆ベーキングパウダー 小1
くるみ 40g
レーズン
40g
《作り方》
・型にペーパーを敷いておきます。…クッキングペーパーを型に合わせて切って使います。
・くるみは160℃のオーブンで10分ほどローストし、刻んでおきます
・人参を「しりしりスライサー」ですりおろし、レモン汁をかけておきます。
① ボウルに*を入れ、泡立て器でよく混ぜます。
② すりおろした人参を加え、よく混ぜます。
③ ゴムべらに持ち替え、☆粉類をふるい入れ、さっくりと切り混ぜます。
半混ぜ状態でくるみとレーズンを加え、生地が均一になるまで切り混ぜます。
④ 型に流し入れ、170℃に余熱したオーブンで45分ほど焼きます。
⑤ 焼きあがったら型から出して粗熱を取りましょう。
⑥ 冷めたらチーズクリームの材料(下記参照)を混ぜ合わせ、ケーキの上にラフに塗り、かぼちゃの種やくるみなどをトッピング クリームチーズが固ければレンジに数秒かけると扱いやすくなります。
《バター&チーズクリーム》
クリームチーズ 100g
バター (食塩不使用) 40g
粉砂糖 40g
私がキャロットケーキと出合ったのは30年も前 ケーキ作りのキャリアも浅い頃でした。 料理雑誌に掲載されていた写真には丸型で焼き上げられたケーキにマジパン製の小さな人参が放射常に飾られて、パセリの葉っぱがちょこん!
野菜が主役のケーキに興味がわき、レシピに従って作ってみたのですが、その焼き上がりは水分が多く、しっとりを通り越してウェッティー… 人参の野菜臭さも気になって、食感にも香りにも馴染めず、撃沈 レシピに添えられた「イギリスで昔から愛されてきたケーキ」とのコメントに納得のいかないまま、再チャレンジもないまま、数年が過ぎたのでした。
自己流ながらケーキを焼く経験を少し重ねた頃 ニンジンをおろし金で「すりおろした」後、絞ってジュースを取り分け、ケーキの生地にはその搾りかすのみを入れてみることを思いつき、試してみると さっくりカリッと甘さ控えめのケーキが焼きあがり、ニンジンの風味も十分感じられて大成功!!!
以後すりおろしたニンジンをよく絞ってから使うのがマイレシピとなり、取り分けたジュースはドリンクとして「いただきます」 こうして一件落着 時が流れ…
英語のレシピ本も覗くようになった頃、大発見がありました。そこにある「ニンジンをgrateする。」
この「grate」はチーズおろしのような多数の穴の開いたグレイターでおろすことを意味しており、作業後ニンジンは千切り状態になるのです。「すりおろす」の和訳そのままに、おろし金でスリスリして出来上がる「みぞれニンジン」とは大違い!
「grate」された細い人参は1本1本に水分が保たれたままケーキに焼き込まれ、加熱されると生地は適度にしっとり焼きあがる。作業を表す言葉「grate」を正確に理解することでようやくイギリス人が大好きなキャロットケーキ にたどり着くことができたのでした。
以後、すり下ろす作業は『チーズおろし』を使用するようになり、今では『しりしりスライサー』を使っています。
なお、キャリア30年の搾りかす使用のキャロットケーキレシピも現役で、さっくりカリッの食感は、イギリス人は知らないキャロットケーキの美味しさかもしれません^v^