『Basler Leckerli バーゼラー レッカリー』

 

『バーゼラー レッカリー』は、スイス北西部の街バーセルで作り継がれるスパイスパンで、14世紀にドイツのニュルンベルグから伝わったレープクーヘンが、この地で独自に進化したものです。

バーゼルはドイツ、フランスとスイス3国の国境に位置し、ドイツ語とフランス語が行き交う街で、街の名前「バーゼル」と、ドイツ語の「小さな美味しいもの」や「小さな焼き菓子」を表す言葉…Läckerli』とが結びついて、『バーゼラーレッカリー』

小麦粉に蜂蜜、シナモンやナツメグなどスパイス類、アーモンド、ドライフルーツ、柑橘ピールさらに特産のさくらんぼ酒:キルシュワッサー も加えて混ぜ合わせた生地を1cmほどの厚さに延ばして、焼きあげます。

仕上げに粉糖をキルシュワッサー で溶いて作るアイシングをかけ、一口大に切り分けたら出来上がり!

卵を使わず、蜂蜜をつなぎにして作られるので、食感はしっとりネチッとして、噛む度に複雑な味が染み出して、口に広がる香りが美味しさを引き立てます。コーヒーや紅茶を添えるもよし、パーティーではシャンパンと共に振舞われるバーゼル自慢の伝統菓子です。

🍒『キルシュワッサー』はさくらんぼを発酵させて造られる無色透明な蒸留酒 お菓子作りでは、香り付けに使われます。

バーゼルは街の中心をライン川が流れ、大型船舶が往来できる最上流の港街として古くから水上交易が盛んでした。船舶は北海の港からオランダ、ドイツ、フランスを経てバーゼル港に至ります。さらに陸路でも交通の要衝に位置し、遠く運ばれるスパイスやナッツ、柑橘類などレープクーヘン作りに必要な材料が豊富に運び込まれていたことは好都合でした。

ニュルンベルクから伝えられたレープクーヘンですが、 ギルド組合に残る記録によりますと、14世紀半ばには、香辛料ギルドに属する商人よって販売されていたことが分かり、まさに「スパイスあってのレープクーヘン」を象徴する資料となっています。

1431年 時の教皇マルティヌス5世の招集によってバーゼルで『バーゼル公会議Council of Basel』が開催されることになりました。

それに伴い各地から集まる300人ほどの司教にふるまうお茶菓子の候補として『レープクーヘン』が挙がったのですが、「あまりに慎ましい…」とされたため、従来の材料である小麦粉、蜂蜜とスパイスに、ナッツやドライフルーツ、フルーツピールなどを加え、より高級感あるものに作り変えて提案したところ、その進化系レープクーヘン『レッケルリ』は合格の栄を得ることができました。

この公会議は教会公会議主義者と教皇支持派の考え方の対立や思惑が交錯したことにより、ほとんど参加者が集まらず、開会に至らなかったのですが、これをきっかけに新生『レッケルリ』は教会のお墨付きも得て、バーゼルの郷土菓子としての存在感を増していきます。

15世紀になると、パンギルドが当時バーゼルで権力をもっていたカルトゥジオ会の修道士たちに新年の贈り物としてレッケルリを渡していたとする記録が残り、1720年には 初めて『Basler Leckerli バーゼラー レッカリー』の名称での記載が見られるようになり、名実ともにバーゼルの郷土菓子になっています。

現代はマルシェの屋台、街中のパン屋さんに加え、ワゴン販売も出て、気軽に購入できるため、観光客にも人気です。

 レッカリー・フース Läckerli Huus

『レッカリー』が工業生産化されたのは1904年のこと

初代社長アンドレ・クラインが「レッカリー・フース社」を設立し、昔から愛され続けるレシピと味を守りつつ、量産に成功 従来のスパイス風味に加え、レモンやチョコレート味も加わり、さらに季節感あふれる商品も販売され人気を集めています。

旧市街に建つ市庁舎から繋がる橋の北側のたもとにある店舗↓

渡し船も健在で、両岸に渡したロープと繋がれ、水流の力を利用して運行しています

バーゼル駅から電車とバスを乗り継いで40分 フレンケンドルフFrenkendorfにあるレッカリー・フース社の製造工場内にはショップが併設され、作りたてのお菓子を買うことができるほか、商品の紹介や製造過程が分かる様々な展示がなされ、レッカリーのさらなる魅力を知ることができます。

フース社は口の中で濃厚なキャラメルがサックリホロッと崩れる不思議な食感が楽しい『キャラメルト』も人気で、1920年にスイス初のハーブキャンディーを発売したことでも知られていれます。

クリスマス前には『バーゼラー レッリー』を使って作る「お菓子の家」キットも発売されて人気を集めます。

*ドイツの料理本に掲載されたレシピを参考にレッカリーを焼いてみました。

材料を揃え、混ぜ合わせて焼くシンプルなレシピです。

 

           『バーゼラー レッカリー』レシピ

《材料》

小麦粉        1cup

アーモンドプードル  1/2cup

シナモンパウダー   小1

クローブパウダー    小4/1~1/2

ナツメグパウダー    小1/4~1/2

ベーキングパウダー      3g

蜂蜜         1/3cup

粗製糖              大3

オレンジピール     大3…みじん切りにしておく

キルシュワッサー          大1

アイシング用粉糖   大5

アイシング用キルシュワッサー   大1

アイシング用レモン果汁    小1

 

《作り方》

① 小麦粉、アーモンドプードル、スパイス類、ベーキングパウダーをポリ袋に入れて、もむようにしてよく混ぜておく。

② 小鍋に蜂蜜と粗製糖を入れ、弱火にかけて、沸騰させないように木べらで混ぜながら温める。 

③ 粗製糖が溶けて全体が滑らかになったら火をとめて、粗熱をとる。

④ ③の鍋に①の粉類と、オレンジピール、キルシュワッサーを入れてよく混ぜる。

⑤ 生地が固いようなら牛乳(分量外)を少量加えて混ぜ、ひとまとめにする。

⑥ ⑤の生地をラップで包んで冷蔵庫に2時間~一晩おいて馴染ませる。

⑦ ⑥の生地をオーブンシートを敷いた天板の上に置き、厚さ7~8mmの四角形に延ばす。

⑧ 200℃に予熱したオーブンで18~20分ほど焼き、取り出して粗熱をとる。

⑨ 焼いている間に、粉砂糖にキルシュを加えてスパチュラで艶が出るまで練り、アイシングを作る。 …アイシングが硬いようならレモン果汁を加えて加減します。

⑩ ⑧の上にスプーンでアイシングを広げて塗り、そのままおいて乾燥させ、アイシングが完全に乾いたら一口大にカットする 。

*キルシュ ワッサー🍒

サクランボ(小粒で糖度の高いブラックチェリー)を砕き種子や果肉ごと発酵させ、その発酵液を蒸留してできる無色透明のブランデー(蒸留酒)       

「キルシュKirsch 」は「サクランボ」を、「ワッサー」は「水」あるいは「酒」の意

1889年ドイツの黒い森で知られるシュヴァルトヴァルト地方で生まれ、今ではフランス、スイスのチロル地方で生産されています。

 

Tannen Kirschlikor タンネン キルシュ

 

南ドイツのシュヴァルトヴァルト地方民族衣装を纏った少女のラベルが印象的

爽やかなサクランボの香りに加え、厚みを感じる風味でお菓子作りに使うとワンランクアップの仕上がりが期待できるように思います。

輸入され、40mlのミニボトルもありますので、気軽にトライできるのも嬉しいところ…

アルコール度数は40~45度ですから、気をつけて! 

 

シュヴァルトヴァルト・キルシュトルテ「黒い森のサクランボケーキ」

シュヴァルトヴァルト地方の黒い森と特産品である キルシュをイメージして作られたトルテ=ケーキで、チョコレート味のスポンジ生地にキルシュワッサーを染み込ませ、周囲には黒い森に積もった雪に見立てたクリームをたっぷり塗って、落ち葉のチョコレートとサクランボを飾るのが定番。 

 

キルシュなくしてはできないトルテ(ケーキ)です。🍒