コテージパイ

イギリスの伝統料理『コテージパイ』は小麦粉を使ったパイ生地の代わりに茹でたジャガ芋をマッシュして使います。その由来は1700年代末 安価なジャガ芋と残り物の肉と身近なチーズから工夫されたメニューだとか…

1870年代挽き肉器が登場するとラム肉も使われるようになり、『シェパーズパイ』と呼ばれ、以来 使う肉が牛肉だと「コテージ(田舎の小さい家)・パイ」、ラム肉だと「シェパーズ(羊飼い)・パイ」と呼び分けられています。

《材料》20cm四方の角型1台分

牛挽き肉     350g
タマネギ     1/2個   粗みじん切り
ニンニク     1片    つぶしてみじん切り
ニンジン     1本    5mmほどのさいの目切り
セロリ      1本    筋を取り5mmほどのさいの目切り

トマト缶     1缶
オリーブオイル  大1
ウスターソース  大1
固形ブイヨン   1個
塩                        小1/2+適量
水           80ml
ローリエ     1枚

《マッシュポテトの材料》

ジャガイモ  500g(大きめ5個)
バター    25g
牛乳     80~100ml
塩胡椒     適量

ナツメグ    お好みで

《作り方》

① 鍋にオリーブオイルとニンニクのみじん切りを入れ、香りがたつまで炒

    め、玉ねぎも加え、透明になるまで炒めます。

② ①の鍋に挽き肉を入れてほぐしながら炒め、ニンジンとセロリも加えて

    炒めます。

③ 肉の色が変わったら、トマト缶(汁ごと)、ウスターソース、固形ブイ

    ヨン、塩、ローリエを入れます。

④ 水を加え、とろ火で30分ほど煮ます。

  時々かき混ぜ、水分をとばし、仕上がったらローリエを出しましょう。

⑤ マッシュポテトを作ります。

 1. 別鍋に水と塩を少量入れて、沸騰させます。

  2. ジャガイモは皮をむき、一口大(2~3cm程度)の角切りにします。

  3. 鍋にジャガイモを入れて8~10分ゆで、ザルに揚げてお湯を切り、

  また鍋に戻します

 4. バター、牛乳、塩胡椒を加え、熱いうちにつぶします。

⑥ 耐熱皿に④のミートソースを入れ、表面を平らにならし、⑤のマッシュ

    ポテトで覆います。

※フォークなどで模様をつけると焼き上がりが表情豊かです。

⑦ 200℃に予熱したオーブンに入れ、表面がきつね色に色づくまで30  

    分ほど焼きます。

30年前はじめて湖水地方を訪れた私は絵本の景色がそのままの美しい景観に感動し、その景色を守るため半生を捧げたベアトリクス・ポターの想いの強さと行動力そしてそれを受け継ぐ人々の重なる思いの熱さを感じたのでした。

そのポターの暮らしたニア・ソーリー村のレストランで出会ったのが『コテージパイ』…以来、『ビアトリクス・ポター』『ピーターラービット』、『ニア・ソーリー村』『コテージパイ』は同じ記憶の箱に納まっている宝物になっています。

ピーターラビットが跳ねる湖水地方とナショナルトラスト 

絵本ピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターは16歳の夏 家族とともに避暑のために訪れた湖水地方を大変気に入り、その後も家族と、時には1人でかの地を訪れることになります。

そこでビアトリクスは湖水地方の自然保護活動に奔走するハードウィック・ローンズリー牧師と知り合い、その考えに共感したのでした。

1905年 40歳目前のビアトリクスは年ごとに売れ行きの良くなっていた『ピーターラビットの絵本』の印税と叔母からの遺産を使って湖水地方ニア・ソーリー村の「ヒルトップ農場」を購入し、その後ロンドンから移住します。

ビアトリクスは村の生活にもすぐ馴染み、売りに出た昔ながらの農家や農場、自然景観の美しい土地を買い取り、管理しながら牧場を広げて絶滅の危機に瀕していた在来種のハードウィックシープの飼育に勢力を注ぎました。

彼女の愛する湖水地方の田舎とは、羊の冬越しのための石の小屋「ホッグ・ハウス」や、小さな農家、なだらかな丘の斜面に石垣で区切られたパッチワークのような牧草の畑や、点在するオークの樹々などが織りなす風景と、そこで牧畜農夫たちが送っている伝統的な生活様式でした

それらをそのまま残す唯一の方法は、自分で買い取って管理するというのがビアトリクスの考えでしたが、それはナショナル・トラストを設立して自然保護活動を続けていたローンズリー牧師の考えとも重なるものでした。ビアトリクスはナショナル・トラストのために世界中で愛されるようになっていたピーターラビットの絵本の印税を使い、さらにサイン入りの絵をアメリカで販売するなどして資金を工面し、愛する土地を取得していったのです。

1943年にビアトリクスが亡くなると、遺言により15の農場と4000エーカー以上の土地がナショナル・トラストに遺贈され、彼女の望みどおりヒルトップ農場は当時のままの姿で保存され、公開されています。

19世紀末から20世紀のはじめにかけて産業革命の進むイギリスでは、鉄道網が地方に伸び、開発が進んで美しい田園風景や歴史的建物が次々と消えていきました。そんな中1894年湖水地方で3人の有志が「ナショナル・トラスト」を設立 寄付金、会費などを集めて土地や建物を買い取り、寄贈を受けたりして、自然や歴史的に価値のある建物などを守るための活動を始めました。

この活動に共鳴し、自らも貴重な土地や建物を買い取り、活動のために金銭的援助を惜しまなかったのがビアトリクス・ポターです。湖水地方で始まった「ナショナル・トラスト」は今では英国最大の自然保護団体となって活動を続けています。

1990年日本でも狭山丘陵の景観を守ろうと同様の活動が広がって、こちらは『トトロ』がマスコットキャラクターで活躍していますね。