茗荷
茗荷は東アジア原産の生姜科 生姜属の多年草です。本州全域に自生し、古くから親しまれてきた野菜ですが、食用にするのはほぼ日本のみ そんなことから海外ではJapanesen gingerと呼ばれるレアな野菜 和食に使ってこそ香りや味が活きるその繊細さは大人の野菜とも言えるのではないでしょうか? かくいう私も年を重ねるに従って好きが高じ、庭の片隅に苗を植え、食卓にのぼる回数も年々増えています。
茗荷は花芽をいただきます!
高知県を中心にハウス栽培されたものが年間を通して流通していますが、その流通量は初夏7月頃が最も多いようで、8月、9月には露地物も出回ります。料理にさっぱりとした清涼感をもたらしてくれることから、初夏を迎えた頃恋しくなる野菜の1つ
食用にされるぷっくり独特なフォルムの部分は茗荷の花芽 地下に地下茎を伸ばして広がって、一見茎と葉にも見える偽茎が地上に伸び、その脇から食用となる花芽が顔を出します。花が咲くと食感が悪くなり味が落ちるため、食用には白い花が顔を出す前 かたく締まった花芽のうちに収穫するのがお勧め。半分地中に潜って隠れていたりしますから、採り遅れないように注意しないといけません!
我が家の生姜は、「湿気があって暗い日陰に植えてね。」のアドバイスとともにご近所のお庭から掘り起こされた1苗を裏庭の隅に植え付けて以来病害虫被害もなく、地下茎で株がどんどん増えて、ほとんど手をかけることなく毎年収穫量が増えている優等野菜ぶりで、…うっかり収穫の適期をのがしてしまうこともしばしば…10月いっぱいニョキッと顔を出したら地中に隠れた根本をもって軽くひねるとさほど力をかけずに収穫できます。
ご利益のある神印
茗荷の家紋は柏紋、桐紋、橘紋、藤紋などと並んで日本十大紋の一つ。
その由来は、「茗荷:みょうが」という呼び名が、知らず知らずのうちに授かっている神仏の加護・恩恵を表す「みょうが:冥加」に重なったことから…。さらに、茗荷が最澄を開祖とする天台宗で信仰された異国の神「摩陀羅神:またらじん」のシンボルであったことから、ご利益のある神印として多く用いられた…など、香味野菜である茗荷そのものの特性から家紋に用いられたわけではないようではありますが、今に残る茗荷紋のデザイン性の高さに敬服です。↓まだまだ多彩な家紋あり!!!
日本人に限って御用達の茗荷 …素材の持ち味を大切にする和食だからこそ茗荷の風味が活きるのでしょうね… 決して繊細とはいえない私の調理ですが、失敗のないお気に入りレシピをご紹介します。
先ずは清涼感たっぷり大人の風味が嬉しい『甘酢漬け』から… 漬物としてそのまま食べるのはもちろん料理にも使え、何より簡単にできて美味しい!それで十分
茗荷の甘酢漬け
《材料》
茗荷 250g(14~15本)
【甘酢】
米酢 100ml(りんご酢でも… )
砂糖 大5(50g)
粗塩 小1/4
水 25ml
*茗荷の赤い外皮をむいてしまうと赤色の発色が弱くなるので、 色の濃い部分は残して使います。
《作り方》
① 甘酢の材料を合わせてジッパー付きの密封袋または容器に入れておきます。*袋をモミモミして砂糖と塩が溶けるのをお手伝いすると早く溶けます。
② 茗荷は洗って水気を切り、熱湯でさっと(30秒ほど)茹でて、ザルにとります。*茹ると色が薄くなりますが、大丈夫!甘酢が馴染むと鮮やかな赤色に変わります。
③ 茗荷が熱いうちに①の密封袋に入れて漬け込みましょう。
④ 冷めたら冷蔵庫で保存します。
2~3日たつと味がよく染みて、4~5日目が食べごろです。 冷蔵で1ヶ月保存可能…少しずつしんなりしてきますが、味が染みてそれはそれで円熟の味わい☆
*茗荷をお湯にくぐらせるのは灰汁抜きと、甘酢の入りをよくするためです。
*漬物として食べるのはもちろんお料理にも重宝!以下を参考にアレンジを広げてください。
刻んでご飯の付け合せに… 大葉、ごま、海苔、しらすなども合わせたら、さわやかな風味が夏に嬉しい一膳の出来上がりです。 『いなり寿司』『薬味寿司』にしてもまた美味
茗荷タルタルソースに…みじん切りにして同量の新玉ねぎのみじん切りと合わせ、マヨネーズで和えたら、すだちをギュ~と絞ります。(またはポン酢を少々加えて)…揚げ物などに添えてください。茗荷ピンクが映える大人のドレッシングとして使えます。
ドレッシングに…茗荷はミジン切りかせん切りに、漬けていた甘酢と油(米油、オリーブオイルなど)を2:1または1:1の割合で混ぜ合わせたら完成です!フレッシュトマトやキュウリなど夏野菜やホタテやタコなど海鮮とも好相性です。お試しあれ…
茗荷のくるくる
《材料》 3本分
茗荷 3本
豚ローススライス肉 3枚
塩コショウ 少々
酒 小1
にんにく 小1…すりおろす
〔生姜みそ〕
*みそ 大1
*みりん 小1
*生姜のすりおろし 小1/2
*梅肉ペースト 小1/2
《作り方》
① 豚肉は塩・こしょうで下味をつけ、お酒をふりかけておきます。
②〔生姜味噌〕の材料を混ぜ合わせ、生姜味噌を作ります。
③ 茗荷はそれぞれ縦半分(1/4等分でも)に切り、片面に〔生姜味噌〕を塗ります。たっぷり塗っても大丈夫! 塗っていない片方をかぶせ、元の形にします。
④ ①の豚肉を広げ、真ん中部分に、にんにくのすりおろしを等分して塗りましょう。
⑤ 豚肉の巻き始めに③の茗荷を斜めに置き、下から流れにそって巻いていきます。茗荷の行くままに任せて…茗荷の上まで巻き終えたら、茗荷の上部を包むかんじで進めると茗荷が豚肉に完全に巻かれます。
⑥ フライパンに少量の油(分量外)をひき、お肉の巻き終わりを下にして焼きます。蓋をして、弱火~中火でじっくり焼いてください。時々様子を見て転がし、両面に焼き色がついたら完成です!
新生姜と茗荷の白和え
《材料》4人分
茗荷(甘酢漬け) 4コ
生姜の甘酢漬け 30g
枝豆 20~25さや
木綿豆腐 1丁(350g)
調味料
砂糖 大1と1/2
塩 小1/3~1/2
うす口しょうゆ 小1/2
塩
《作り方》
① 豆腐の水切りをします。
豆腐は1丁を半分に切って、それぞれを紙タオルで包み、耐熱皿にのせ、電子レンジにかけます。
500wなら100gあたり1分間を目安にします。
豆腐が冷めたらキッチンペーパーをはずし、新たなキッチンペーパーで表面の水分を拭き取ります。
② 水切りした豆腐をボウルに入れ、ヘラでなめらかになるまで潰し、調味料を加えて混ぜます。
③ 茗荷の甘酢漬けは小口切りに、生姜の甘酢漬けはせん切りにします。
茗荷は生のものを水にさらして使っても…
枝豆は塩茹でしてサヤから出し、薄皮をむきます。
④ ②ボウルの豆腐に茗荷、生姜、枝豆を加えて和えましょう。